星と花の写真館Blog

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一眼レフで撮る冬の星空とオリオン大星雲 長野しらびそ高原

今回は、一眼レフCanonEOS 70DとキットレンズEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMとポータブル赤道儀を使用して冬の星座のオリオン座とオリオン大星雲を撮影しました。オリオン大星雲の撮影では、EF-S18-135mmのテレ端で120秒の露出を行い、ポータブル赤道儀(スカイメモS)の追尾性能がどのくらいか?を確認しています。撮影地は、天文愛好家の聖地と言われるほど澄んだ星空が見られる長野県飯田市しらびそ高原です。

 紅葉の盛りの今の時期に冬の星座とは、少し気が早いと思われるかもしれませんが、真冬の寒い時期より、まだ温かい今の時期の方が星空を見るのには向いています。また、冬になると標高の高い「しらびそ高原」のような地域は、雪で閉ざされ行けなくなってしまうという理由もあります。冬の星座は、是非とも早めに見に行ってみて下さい。

目次

 

写真と撮影データ

冬の大三角と冬の天の川

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撮影データ

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 上の写真は、しらびそ高原にて撮影した冬の大三角です。しらびそ高原は、南アルプスの山岳地帯の一角にある標高が1800mを超える高原です。夜に関東から中央自動車道を使って移動しましたが、途中の山梨辺りでは空が雲に覆われていたため、星空が見えるか心配しながら運転しましたが、高速道路を降りて山道を登ると雲を突き抜けており、一面の星空が広がっていました。周囲の都市から離れた場所にあるため光害の影響が少なく、また、標高が高いため星がシャープに写るので撮影がとても楽しいです。EOS70DのキットレンズEF-S18-135mmのワイド端を使うと冬の大三角がすっぽりと収まります。ポータブル赤道儀で星の日周運動を追尾して星が流れて写る心配が無いため、バルブモードで3分間の長時間露光をしました。写真の右上から左下に流れている淡い光の冬の天の川なのですが、しっかり捉えられているのは、しらびそ高原の星空の条件の良さのためだと思います。

 

②紅葉とオリオン座

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撮影データ

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上の写真は、秋の名残の紅葉と冬の星座の写真です。冒頭の写真とは異なり、焦点距離10mmの広角レンズを使用して黄色く紅葉した樹と共に星空を撮影しました。この写真はポータブル赤道儀を使用せずに、三脚にカメラを固定した状態で撮影しています。星が流れてしまうことを避けるため露出時間を30秒と短めにしています。普通に撮ってしまうと星が小さく見え辛くなってしまうので、ソフトフィルターを使用して星を強調しました。

 

③オリオン大星雲

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撮影データ

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上の写真は、キットレンズEF-S18-135mmのテレ端を使用して撮影したオリオン大星雲です。焦点距離135mmだと望遠寄りになりすぎて、ポータブル赤道儀では、さすがに星が流れてちゃんとした写真にならないかなと思っていたのですが、露光時間2分という長い時間でもきちんと追尾してくれています。もっと焦点距離の大きいレンズを使用して撮影して見たくなります。

上の写真のオリオン大星雲の部分のみを拡大するとおなじみの鳥が羽を広げたような姿が分かります。

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さすがに細かい部分の解像感は得られていないですが、星雲のような淡い対象を良く撮れていると思います。ポータブル赤道儀では、天の川の撮影程度が精一杯で、星雲などの撮影は難しいかなと諦めていたのですが、結構いけます。

 

星空の解説

冒頭の写真をもとに冬の大三角を形成する星々を紹介します。 

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オリオン座の1等星ベテルギウスおおいぬ座の1等星シリウスこいぬ座の1等星プロキオンを結んだ三角形を冬の大三角と呼びます。冬の夜に南の空に冬の大三角が昇ってきます。淡い冬の天の川は、冬の大三角を斜めに横切っています。写真では、右上から左下の方に天の川が横切っています。冬の夜空には明るい星が多く、冷たく澄んだ空は1年の内で最もきらびやかです。オリオン大星雲は、オリオン座の真ん中に横に並んだ3つ星の下にあります。 

 

星座の事典

星座の事典

 

 

 

写真のような星空が見える時間帯

冬の星座の代表であるオリオン座が南中する時間は、

 10月  1日頃・・・・午前  4時30分頃

 10月15日頃・・・・午前  3時30分頃

 11月  1日頃・・・・午前  2時30分頃

 11月15日頃・・・・午前  1時30分頃

 12月  1日頃・・・・午前  0時30分頃

 12月15日頃・・・・午後11時30分頃

   1月  1日頃・・・・午後10時30分頃

   1月15日頃・・・・午後  9時30分頃

   2月  1日頃・・・・午後  8時30分頃

   2月15日頃・・・・午後  7時30分頃

月が出ていると、月明かりにより星や天の川が見えにくくなります。

星空を見るときは、月の出時刻や月の入り時刻なども確認しておきましょう。

本日の月の出や月の入り時刻などが確認できる、国立天文台の暦のページへのリンクです。

国立天文台 天文情報センター 暦計算室

 

撮影地

長野県飯田市しらびそ高原

 しらびそ高原は、南アルプスの一角にある標高が1800mを超える高原です。付近は急斜面の山岳地帯で、高原という名前がついていますが周囲は森林が広がっているため、見晴らしの良い開けた場所は少なく、3ヶ所程度となります。1つ目の場所は、しらびそ峠です。しらびそ峠には、ちょっと開けた場所がありますが、星空を見るにはいまいちです。2つ目は、宿泊施設「ハイランドしらびそ」の敷地です。「ハイランドしらびそ」に宿泊する場合は、ここが一つの星空観測と撮影スポットになります。3つ目は、御池山隕石クレーター総合案内板のある広場です。この広場は、かなり広く周囲の見晴らしも良いため、星空観察や撮影場所としても最適です。条件の良い日には、多くの天文愛好家が集まる場所だそうです。

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林道から広場へ自動車で直接乗り入れ可能で、撮影機材を持ち運ぶ手間が省けます。東には南アルプス中心部の山々が展望できます。

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広場の入り口にある案内板には、御池山隕石クレーターについての説明があります。浸食が進みクレーターの形は分かりにくいのですが、言われてみればクレーターっぽく見えてくるかな?

 

撮影に使用した機材の紹介

ポータブル赤道儀

今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)

Kenko ポータブル赤道儀 スカイメモS レッド 455173

Kenko ポータブル赤道儀 スカイメモS レッド 455173

  • 発売日: 2015/04/21
  • メディア: エレクトロニクス
 

 

ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。

実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。

※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用とポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。

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hoshi-hana.hatenablog.jp

 

カメラ

カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。

星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadiPhoneなどのスマホタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。

星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。

現在EOS70Dの後継にあたるEOS80Dが発売されています。