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天の川を綺麗に撮影したい! と思った時に・・・ポータブル赤道儀スカイメモSの使い方

目次

 

ポータブル赤道儀の役割

星空の撮影の中でも天の川や星雲などの淡く輝く写真を撮ろうとする時には、シャッターを1分から数分程度の間、開き放しにして撮影する必要があります。

 カメラを三脚に固定して撮影すると、シャッターを開いている間に星は日周運動により位置が動くため、星が長細く写ってしまい、ブレたように鮮明に写りません。

 ポータブル赤道儀を使用すると、星の日周運動の動きに合わせてカメラの向きを調整することが出来るため、星が点として写るシャープな星空の写真を撮影することが出来ます。

上の左側の写真がカメラを三脚固定して撮影した星空で、右側がポータブル赤道儀を使用して撮影した星空です。左側の写真では、星が弧を描いて動いていることが分かります。ポータブル赤道儀はその動きに合わせてカメラを動かしてくれるため、星が点で写ります。そのため、天の川や星雲などの淡い輝きの天体を撮影することに優れています。

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 一般的に赤道儀というと天体望遠鏡を支えるための頑丈だけど重くて持ち運びに不便な物をさしますが、ポータブル赤道儀はカメラを取付ける用に特化したもので、天体望遠鏡用に比べると小さく軽く持ち運びに便利なものになっています。カメラ用三脚と同じように持ち運べるため撮影場所の幅が広がり、地上の景色と星空を一緒に撮影する星景写真を撮影する際に特にメリットとなります。

 下のポータブル赤道儀を使用した機材構成は、ほぼ最小限の構成の例ですが、自分はこの構成でいつも星空の撮影を行っています。この構成では、カメラと三脚以外に追加した部品は、ポータブル赤道儀(スカイメモS)と自由雲台だけです。

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現在市販されているポータブル赤道儀では、以下のような商品がメジャーです。ポータブル赤道儀の価格は2万~3万円ぐらいです。(三脚、自由雲台、カメラは含まれません。)

・スカイメモシリーズ

 

・ポラリエ

Vixen ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT) ホワイト 355051

Vixen ポータブル赤道儀 星空雲台ポラリエ(WT) ホワイト 355051

 

 

・ナノトラッカー

 

 これらの商品の中で今回は、私が撮影に使用しているスカイメモSの使用手順について紹介していきますが、その他のポータブル赤道儀でも大まかな手順は同じです。

 私がスカイメモSを購入した理由は、スカイメモSには極軸望遠鏡が標準で付属していることと搭載可能重量が5kg他よりも大きかったためです。

 ちなみにスカイメモSにSIGMAの超望遠レンズ150-600mmF5-F6.3 DG OS HSM Contemporary(カメラと雲台を含めて総重量約3kg)を搭載して撮影してみたのですが、焦点距離600mm(35mm判換算960mm)でも15秒程度ならば、下の写真のように星を点で捉えることが出来ています。15秒×9枚の写真をコンポジット処理して出力したオリオン大星雲です。

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これらにより、私はスカイメモS(ポータブル赤道儀)をかなり使い勝手の良いツールとして考えています。

 

スカイメモS(ポータブル赤道儀)を使って星空を撮影するために必要なもの

ポータブル赤道儀+付属品(明視野照明装置、ショートプレート)

 明視野照明装置用のボタン電池(CR2032)は、新品購入時にはテスト電池が付属しているのが嬉しいですね。

 

②カメラ

 バルブ機能付きもしくは30秒程度の露出時間設定ができ、U1/4三脚ネジによって取り付けられるカメラが必要。バッテリーやSDカード等の記録媒体も忘れずに!

 

③三脚

 SLIK プロ500クラス以上の金属雲台付きものを推奨だそうです。SLIK プロ500は最大搭載重量5kgなのですが、私は最大搭載重量3kg程度の三脚を使用しています。最大搭載重量が大きくなると撮影ブレなどにも強くなり、撮影もしやすくなるのですが、価格も高くなってしまいます。三脚はポータブル赤道儀を使用しなくても星空撮影の必需品ですので、将来的にポータブル赤道儀を導入したいと思っている方は、最大搭載重量を参考に選んでおくのが良いと思います。

SLIK 三脚 プロ 500 DX-III N 3段 中型 105702

SLIK 三脚 プロ 500 DX-III N 3段 中型 105702

 

 

④自由雲台

 取付ネジ(メス)がU3/8対応のもの。カメラとポータブル赤道儀の接続のために三脚についている雲台とは別に1個必要。

 

⑤単三電池4個

 ポータブル赤道儀の電源として必要

⑥カメラ用リモコン(レリーズ)

 カメラ本体に触れずにシャッターを切ったり、バルブ撮影でレリーズロックするために必要。

⑦時計、懐中電灯、コンパス

 夜間に機材の設置や極軸合わせを行うために必要。スマホがあれば何とかなりますが、

作業性を考えるとヘッドライトがあると良いです。

 

⑧1.5mm六角レンチ

 極軸望遠鏡の光軸調整など各部の調整に必要。

 

ポータブル赤道儀スカイメモSの使い方のポイント

 紹介したポータブル赤道儀のうち、自分が使用してるスカイメモSの使用手順について説明します。ポータブル赤道儀の使い方で一番難しいのは、北極星を目印に赤道儀の極軸を合わせる点だと思いますが、慣れれば5分程度で合わせることが出来るようになると思います。

 

1.撮影地に行く前の準備

撮影地に行く前、昼間に実施しておいた方が良い準備です。購入後1回実施しておくと、その後は何か不具合を感じない限り特に調整する必要はありません。

 

 1-1.極軸望遠鏡の光軸調整

 新品で購入した場合には出荷前に光軸調整を行っているとは思いますが、念のため確認してみて下さい。また、遠くの目標物を極軸望遠鏡で見てピント調整リングで望遠鏡のピントを合わせて置くと、極軸合わせで夜にピントを合わせる手間が省けます。

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 クラッチをフリーにして、極軸望遠鏡を覗いてピントを合わせたあと、目標物がスケールの中心に来るように三脚の雲台を調整して、ポータブル赤道儀の方向を合わせます。

 アリ溝プレートを180°回転させても目標物が中心からズレなければ、光軸調整は必要ありません。多少ズレていても問題ないと思います。光軸調整は慣れていないとすごく大変なため、なるべくしない方が良いです。

光軸がずれている場合は、六角レンチ(1.5mm)を使用して円周3ヶ所のスケールパターン調整ネジを各々締めたり緩めたりしながら調整する必要があります。

 

 1‐2.月日目盛リングの調整

 極軸望遠鏡から見えるスケールと月日目盛リングの目盛を合わせるための調整です。

トリセツには、ポータブル赤道儀の底面が水平になるようにセットしたあと、極軸望遠鏡のスケールの「0」を上に「6」を下に、「3」と「9」を水平に合わせると書いてあります。水平が正確に出ている目標物でもない限り1~2°のズレが生じる可能性がありますが、あまり神経質にならずに調整しましょう。

 

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ポータブル赤道儀を三脚に取り付けて、三脚の水準器などを利用して、左右方向の水平を出します。

 

クラッチノブを緩めてフリーにしてアリ溝プレートを回転させ、極軸望遠鏡を覗いてスケールの「0」が上、「6」が下、「3」と「9」が水平に来るような位置にもってきます。その後、クラッチノブを締めて、その位置でアリ溝プレートとスケールが回転できないように固定します。

 

クラッチノブを締めたまま、月日目盛の10月10日と時間目盛の1時20分が一致するように月日目盛リングを回してセットします。

 

④③の状態のままで、経度差目盛リングの固定ネジを六角レンチ(1.5mm)を使用して緩め、指標線が経度差目盛の「0」の位置に合わせた後、固定ネジを締めます。

 

 

2.撮影地での準備

 2-1.ポータブル赤道儀と三脚の設置

 ポータブル赤道儀に単三電池4個をセットして、三脚にしっかり固定します。三脚も出来るだけ安定する場所に脚を広げて設置してください。北極星の方向を目視で確認し、ポータブル赤道儀の極軸望遠鏡を大まかに北向きに合わせて置いて下さい。

 

 ポータブル赤道儀と同じ高さに目線を置いて極軸望遠鏡で北極星を見たときに障害になりそうな木や岩などがないか確認しておきましょう。障害物があり極軸望遠鏡から北極星が見えそうにないときは、三脚の高さを調整するか場所を変えましょう。また撮影したい方向も同時に確認し、構図に問題がないかも確認しておきましょう。場所選びをいい加減にすると、撮影しようとする段階になって構図が取れず移動と極軸合わせをやり直すことになります。私もそれを何度か経験しました。

 

 2‐3.極軸合わせ

 極軸望遠鏡は、視野(見える範囲)が狭く、上下左右が逆転して見えるため、極軸望遠鏡で北極星を捉えるには少々コツと慣れが必要です。

 また極軸合わせの操作時にクラッチノブを締めたり、緩めたりする必要がありますが、クラッチノブの操作を間違うと、きちんと極軸を合わせることが出来ませんので注意して操作して下さい。

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まず、極軸望遠鏡カバーと極軸望遠鏡対物キャップを外します。

ポータブル赤道儀を三脚に取り付けて、三脚の水準器などを利用して、左右方向の水平を出します。

 

クラッチノブを締めて、経度調整目盛の値が、撮影地の経度と標準子午線(東経135°)との差と同じになるように月日目盛リングを回して調整します。

 参考として、札幌市はE側に6°、仙台市はE側に6°、東京23区はE側に4°、長野市はE側に3°、名古屋市はE側に2°、京都市はE側に1°、大阪市は0°、高松市はW側に1°、広島市はW側3°、福岡市はW側に5°、那覇市はW側に7°動かします。撮影地に近い都市を参考にして下さい。

 

クラッチノブを緩めて、アリ溝プレート回して月日目盛を現在時刻に合わせます。

 

④③の状態のままクラッチノブを締めて、アリ溝プレートの回転を固定した後、モード選択ダイヤルを「★」(恒星追尾モード)にして赤道儀を起動します。3ポジションスイッチが「N」(北半球追尾)であることを確認しましょう。

 

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⑤スカイメモSには北極星のぞき穴がついていますが、イマイチ使い勝手が悪いため、望遠鏡で目標を捉える標準的な方法を紹介します。

 まず、北極星の位置を目視で確認して北極星の真下の地上付近の景色を確認し、三脚の雲台を左右に動かして極軸望遠鏡でその地上付近の景色を捉えます。その後三脚の雲台を動かして徐々に望遠鏡を上に向けると北極星を素早く捉えられると思います。

 極軸望遠鏡で北極星を捉えたら、明視野照明装置を対物レンズ側に取り付け、望遠鏡のスケールの「6」の位置に北極星が来るように微調整を行います。

 

・極軸望遠鏡を覗く時はもう一方の目をつぶらず、両目を開けて見た方が良く見えます。

・最初から明視野照明装置をつけて極軸望遠鏡を覗くと明るすぎて星が良く見えないことがあります。逆に明視野照明装置をつけないとスケールが見えず北極星をきちんと合わせられないため、微調整の時のみ点けるのが良いと思います。

・トリセツには歳差誤差補正の方法が載っていますが、それ以外の誤差要素が大きすぎ実施してもあまり意味がないため、実施していません。

・極軸望遠鏡のスケールと北極星を合わせたら、三脚やポータブル赤道儀の各可動部の固定がしっかりできているかを確認して、極軸合わせは終了です。

 

 2‐4.カメラをセットして撮影

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・極軸合わせが終わったら明視野照明装置OFFにして取り外しましょう。

ショートプレートと自由雲台を連結し、それをポータブル赤道儀のアリ溝プレート部に取り付け、プレート固定クランプを締めて固定します。

②カメラを自由雲台に固定し、カメラを目標の方向に向け自由雲台の可動部をしっかり固定します。

・カメラのファインダーやライブビューを見ながらカメラの向きやピントの調整を行います。 

・カメラリモコンをカメラに取付けて試し撮りを行ってみてから、本撮影です。 

・天の川の撮影では、レンズのF値3.5、ISO感度1600で、露出時間を1分~1分半を目安にして撮影しています。紹介した手順でポータブル赤道儀を使えば、焦点距離20mmのレンズを使って、余裕で3分以上星を点として撮影することが可能ですので、天の川の撮影にとても効果的です。

・必要に応じてポータブル赤道儀のモード選択ダイヤルを切替えます。基本は「恒星追尾モード」です。星の日周運動に対して0.5倍の速度で追尾することで、地上の景色の流れを抑える「0.5xモード」も、必要に応じて試してみて下さい。

3.撮影後

・撮影が終わったらモード選択ダイヤルを「OFF」にして、カメラや自由雲台をポータブル赤道儀本体より取り外します。

・移動してまた撮影する予定がある場合などは、ポータブル赤道儀を三脚つけたまま持ち運びをしていますが、モード選択ダイヤルが緩いためダイヤルをOFFにしておいても、どこかに接触した際にモードが切替り、知らないうちに起動している場合があります。持ち運ぶ際は、電池を1個だけでも抜いておくとモード選択ダイヤルが動いても起動しない為、知らないうちに起動して電池が消耗してしまうような事態は避けられると思います。

 

 

まとめ

 スカイメモSの極軸合わせには色々な誤差要素が存在しています。また、カメラをセットすると極軸望遠鏡が塞がり、極軸が合っているかすら分からなくなります。その上カメラの重量により、たわみが発生して極軸がずれていると思われます。

 スカイメモSは、そのような誤差があることを認識しつつも、神経質にならずに使うべきツールなのでしょう。それでも星景撮影などに必要十分な性能を発揮しているところが、使い勝手の良さと思っています。

 皆さんもポータブル赤道儀を使っての星景写真にトライしてみて下さい。

 

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