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600mm超望遠レンズで天体撮影① オリオン大星雲

 焦点距離600mmの超望遠レンズとポータブル赤道儀で、どのくらい鮮明に天体撮影が可能か?ということが気になり、チャレンジをしてみました。今回、レンズを向ける対象は、一般的によく知られており比較的撮影しやすいオリオン大星雲です。

 以前の記事で、CANON EOS70Dとキットレンズ(EF-S18-135 IS STM)とポータブル赤道儀(スカイメモS)の組合せでオリオン大星雲を撮影した結果を紹介しましたが、 キットレンズのテレ端の焦点距離135mm(35mm判換算焦点距離216mm)では、オリオン大星雲を写すことはできましたが、焦点距離が足らない影響もあり、細部の様子がぼやけて不鮮明だと感じていました。

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 今回は、レンズにSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使用して焦点距離600mm(35mm判換算の焦点距離960mm)でオリオン大星雲に迫ります。

 

目次

 

撮影機材の構成

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 今回の撮影では、ポータブル赤道儀にカメラと望遠レンズを搭載しているので上部が重く、写真のように見た目がかなり不安定な状態なのですが、焦点距離600mmにズームするとレンズの筒がさらに伸びます。

 重量面から見ると、

レンズのSIGMA150-600mmが1930g、カメラのCANON EOS70Dが755g、自由雲台が389g、ポータブル赤道儀スカイメモSが1200g(単3電池込み)なので、スカイメモSの搭載許容荷重5kgに対して搭載重量が約3.1kgなので問題なしですが、三脚の搭載許容荷重3kgに対して搭載重量が4.3kgとなり許容オーバー状態での使用となっています・・・。

それでも、とにかく撮影決行です。

 

いつものようにポータブル赤道儀のセッティングして、カメラを撮影対象のオリオン大星雲に向けます。

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 ここで、1つ問題が発生しました。

カメラでオリオン大星雲を捉えて、カメラの向きを固定しようとしたのですが、レンズが重いため自由雲台のクランプを締めても、手の支えを外すとレンズがうなだれてしまい、オリオン大星雲がカメラの画角から外れてしまうのです。オリオン大星雲をカメラの画角内にセットするのに、だいぶ手間取り、時間がかかってしまいました。

 自由雲台で望遠レンズをセットするのはかなり困難だと感じ、微動装置が欲しいなとすごく思いました。

 

撮影結果

 なんとかセッティングを完了して撮影開始です。

望遠レンズSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryには、手振れ補正機構Optical Stabilizerがついているのですが、今回の撮影では手振れ補正をONにすると逆にブレが発生してしまうため、手振れ補正をOFFにして撮影しています。月の撮影では、手振れ補正のON/OFFによる違いを感じなかったのですが、三脚を使用して暗い被写体を撮ろうとするときには、手振れ補正をOFFにする必要があるようです。

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 上の写真の真ん中で小さく淡く光っているのがオリオン大星雲の中心部です。ISO感度800、露出時間15秒で撮影しました。露出時間が短いため、写真でよく見るようなオリオン大星雲の姿とは違いますが、天体望遠鏡を覗いたときに見える姿に近いと思います。淡く光っている星雲の中央部には、トラぺジウムと呼ばれる4つの星が固まって輝いているのですが、上の写真では1つ1つの星としてはっきりとは分離できておらず、団子状態で写っています。

 星雲の輝きはとても淡いため、天体望遠鏡で見ても写真のような姿では見れないのですよね。写真では露出時間を長くする分だけ、かすかな輝きまで写すことができるので、写真と実際に見える姿はかなり違ってきます。そのため、写真で見られるような星雲の様子を見たい場合、天体望遠鏡を買った後は、天体写真を撮るための道具を揃えることになってしまいます。それならば、天体望遠鏡ではなくカメラレンズで天体写真を撮った方がいいんじゃないか?というのが今回の記事の発端です。

 焦点距離600mm(35mm判換算960mm)のレンズともなるとポータブル赤道儀では、数分間の長時間露出は難しいと思い、今回の撮影では1枚当たり15秒の露出時間で何枚も撮影を行い、家に帰ってから複数枚の写真を合成することで、明るさを確保することにします。 

 

撮影した9枚の写真をスクリーン合成した結果

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 上の写真は、露出時間15秒の写真9枚をスクリーン合成という方法で合成し、明るさや色味などを調整したものです。通常であれば、明るさを得るためには加算合成を行うのですが、加算合成ではオリオン大星雲の中心部が明るくなりすぎ飽和してしまうため、スクリーン合成という方法を使用してみました。スクリーン合成では、明るくなりすぎるのを抑えることができます。

 9枚の写真を合成することで、なじみのあるオリオン大星雲の形が姿を現しました。赤、青、緑に輝く部分や手前にある暗黒星雲に遮られ暗く見える部分など、星雲の細部の様子を見ることができます。

 今回撮影した総枚数は34枚で、このぐらい撮れば合成したときに十分な明るさが得られるだろうと思っていたのですが、15秒の露出時間中に風や振動により星がブレて写っている写真が多ったため、選別を行ったところ、使えると判断した写真は9枚になってしまいました。なかなか厳しい結果ですが、今回の機材構成では、仕方がないのかもしれません。

 露出時間を短くし後で合成を行うという手法を使うことで、長時間露出に対して、風や振動などによるブレの影響を小さくするという効果があったと思います。

 

 下の写真は、以前に紹介したキットレンズ(EF-S18-135 IS STM)を使って撮影したオリオン大星雲です。キットレンズを使用した写真に比べ、今回の600mm望遠レンズを使用した写真の方が、星雲の細部の様子をより鮮明に捉えているのが分かりますが、キットレンズも思ったより健闘していると思いました。

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まとめ

 焦点距離600mm超望遠レンズとポータブル赤道儀の組合せで、露出時間15秒のオリオン大星雲の追尾撮影が可能でした。撮影した複数枚の写真を合成することで、より鮮明なオリオン大星雲の様子を楽しむことができました。

 ただし、望遠レンズで天体を導入するには手間がかかり、風や振動によるブレへの対応も必要になります。

 本格的に天体撮影をする場合は、やはり赤道儀付きの天体望遠鏡を使用した方が、天体の導入や振動対策などに有利で、撮影は楽になると思いますが、手持ちのレンズや三脚などを流用して天体撮影をしてみたいと思った時には、ポータブル赤道儀を購入すると比較的簡単に天体撮影を始められると思います。

 

600mm望遠レンズを使った天体撮影の記事

hoshi-hana.hatenablog.jp

 

hoshi-hana.hatenablog.jp

 

 

 

撮影に使用した機材の紹介

ポータブル赤道儀

今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)

ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。

実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。

※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用、ポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。

 

カメラ

カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。

星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadiPhoneなどのスマホタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。

星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。

現在EOS70Dの後継にあたるEOS80Dが発売されています。 

 

レンズ

 レンズは、SIGMA 150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使用しています。600mmまでカバーしている望遠レンズの中でコストパフォーマンスが良くネット上の評判の良いものとして選んでいます。

 自分が購入した目的の1つは、月の写真を撮ることでした。手振れ補正機能を使うことで手持ちでもそこそこブレずに月を写すことが出来ますが、やはりきちんと三脚に固定して写した方がシャープに写ります。三脚に固定して撮影する場合は、手振れ補正をONにすると逆にブレる場合があり、その際は手振れ補正をOFFにして使用します。

 口径60mmの天体望遠鏡以上の解像度があります。口径、値段とも小口径の天体望遠鏡以上なので当然といえば当然なのですが・・・。望遠鏡よりも持ち運びに便利なため、ズーム機能をファインダー代わりに天体望遠鏡としても使えないかなぁとも考えています。

 下のリンクは、ニコン用マウントのレンズにリンクしています。キヤノン用やSIGMA用のマウントのレンズはリンク先で「キヤノン用」「SIGMA用」のスタイル名を選択して下さい。

SIGMA 望遠ズームレンズ Contemporary 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM ニコン用 745554

SIGMA 望遠ズームレンズ Contemporary 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM ニコン用 745554