600mm超望遠レンズで天体撮影④ M45プレアデス星団(すばる)
デジタル一眼レフと望遠レンズSIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporaryとポータブル赤道儀SKYMEMO Sを使用して天体撮影をやってみるシリーズの4回目です。今回は、プレアデス星団(M45)を撮影します。
プレアデス星団は、和名「すばる」としてもよく知られている星々の集まり(星団)です。他の星団に比べ、星々の明るさや集まり具合いが良いため見応えがあり、撮影対象としても人気があります。
肉眼でも観察することができる天体なのですが、600mm望遠レンズを使用して撮影するとプレアデス星団の星々が、ちょうどよい感じに画面一杯に広がり、より詳しく観察することができます。
目次
撮影機材の構成
カメラ:CANON EOS 70D
レンズ:SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporary
ポータブル赤道儀:Kenko SKYMEMO S
三脚:ベルボン Sherpa 635 Ⅱ
今回の撮影では、ポータブル赤道儀にカメラと望遠レンズを搭載しているので上部が重く、写真のように見た目がかなり不安定な状態なのですが、焦点距離600mmにズームするとレンズの筒がさらに伸びた状態になり、さらに不安定さが増します。
以前にM42オリオン大星雲やM8干潟星雲やM20三裂星雲を撮影した時と同じ構成です。
ポータブル赤道儀とカメラを接続している自由雲台については、600mm望遠レンズで目標の天体を画面中央にもってくるには、やはり難しいものがあります。
600mm望遠レンズで天体写真を撮るのも回数を重ねているので、最初のころに比べると慣れてはきましたが、微調整ができないため、どうしても画面中央にもってくるのに何度もクランプを緩めたり締めたりという動作を繰り返す必要があり、時間がかかります。
今回の撮影でも、撮影対象はプレアデス星団とアンドロメダ銀河の2つだったのですが、
肉眼ではっきりと場所が分かり、カメラのライブビューでも見えるプレアデス星団は、撮影することができましたが、
アンドロメダ銀河は、目印となる明るい星などが近くにないため、画面内に導入することが難しく、撮影できませんでした。
今回の機材を使用した撮影方法では、このあたりに限界があるようです。
機材の詳細については、下の記事を参照ください。
600mm望遠レンズでM8干潟星雲やM20三裂星雲を撮影した記事
プレアデス星団の見つけ方
12月頃では、日暮れ後、東の空にプレアデス星団が見え始めます。
日暮れが早くなり、寒さが厳しさを増してくる冬の夜空で、既に葉を落とした木々の上に輝く様子は、「冬の使者」といった風情です。
プレアデス星団は、おうし座にあります。
プレアデス星団が空高くに昇る頃には、その東側にあるオリオン座やふたご座、おおいぬ座など冬の代表的な星座が見え始め、星空の世界においても冬本番となります。
プレアデス星団が見える時期と時間帯
プレアデス星団が、東の空に昇り始める時期と時間帯は、以下の通りです。
下の時間帯より2時間くらい後の方が、見たり撮影したりしやすい位置に来ると思います。
9月 1日頃・・・・午後11時00分頃
9月15日頃・・・・午後10時00分頃
10月 1日頃・・・・午後9時00分頃
10月15日頃・・・・午後8時00分頃
11月 1日頃・・・・午後 7時00分頃
11月15日頃・・・・午後 6時00分頃
12月 1日頃・・・・午後 5時00分頃
月が出ていると、月明りにより星が見えにくくなります。
星空を見るときは、月の出時刻や月の入り時刻なども確認しておきましょう。
本日の月の出や月の入り時刻などが確認できる、国立天文台の暦のページへのリンクです。
600mm望遠レンズで撮影したプレアデス星団
上の写真は、今回12月1日に600mm望遠レンズで撮影したプレアデス星団です。
露出時間15秒の写真を22枚合成して、明るさを確保しています。ポータブル赤道儀の追尾のズレの影響で、写真合成の際にズレが発生するため、周囲を少しトリミングしています。プレアデス星団の全体がちょうどよくフレーム内に収まります。
星の周囲に輝く薄い散光星雲まで写したいと思い、トータルとして少し長めの露出時間にしました。しかし、撮影地の光害の影響と撮影当日の空に薄い雲がかかっていたため、散光星雲の方は、ぼんやりとしか写りませんでした。
プレアデス星団の周りの散光星雲を写すには、空の暗さや空模様など一段と良い条件でないと難しいようです。
下の写真は、別の日(今年10月初)に撮影したプレアデス星団の様子です。
撮影地は、新潟県魚沼市大白川です。この時は、撮影地の空の暗さや空模様がほぼベストな条件だったため、上の写真よりも散光星雲の様子がより詳しく分かります。
しかし、露出時間の不足の影響と撮影時の気温が高かった影響により、ノイズが目立つ写真になりました。
最近は、撮影時の気温とデジカメのノイズの関係について色々調査しているのですが、気温20度に比べて、気温0度以下ではノイズがすごく少なくなることが分かりました。天体写真を撮影する場合は、暗い被写体を撮影することになり、どうしてもノイズの発生具合が気になってきます。これからの冬シーズンは、ノイズという点で最適な時期になります。
寒い夜での天体撮影は気が引けるものですが、他の季節では撮れないクリアな写真を撮れるチャンスでもあり、天気の良い日には、天体撮影に出かけてみてはいかかでしょうか。
今年(2019年)1月に長野県阿智村の治部坂高原で撮影したプレアデス星団の写真を追加します。治部坂高原は光害の影響が少なく、気温も低かったため、より鮮明に撮影することができました。
プレアデス星団の星々の名前
プレアデス星団内の明るい星には、それぞれに名前がついています。
撮影に使用した機材の紹介
ポータブル赤道儀
今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)
ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡用赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。
実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡用赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。
※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用、ポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。
カメラ
カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。
星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadやiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadやiPhoneなどのスマホやタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホやタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。
星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。
現在EOS70Dの後継にあたるEOS90Dが発売されています。
レンズ
レンズは、SIGMA 150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使用しています。600mmまでカバーしている望遠レンズの中でコストパフォーマンスが良くネット上の評判の良いものとして選んでいます。
天体撮影用ではないですが、簡単な天体望遠鏡代わりにならかなと思い使用しています。天体望遠鏡は倒立画像で見えますが、望遠レンズ+カメラは正立画像で見えるため、天体望遠鏡での天体導入操作に慣れているとやりづらいと思うこともあります。
下のリンクは、ニコン用マウントのレンズにリンクしています。キヤノン用やSIGMA用のマウントのレンズはリンク先で「キヤノン用」「SIGMA用」のスタイル名を選択して下さい。
SIGMA 望遠ズームレンズ Contemporary 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM ニコン用 745554
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- メディア: エレクトロニクス
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このブログ記事に関連した本の紹介
ポータブル赤道儀で星空写真を撮ろう!: 星の動きを追って、満天の星が記録できる
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天体写真の教科書: 星・月・太陽、天体別機材選びから徹底解説
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