600mm超望遠レンズで天体撮影⑤ M20三裂星雲(2回目)
今回は、 望遠レンズSIGMA 150-600mm F5-6.3 Contemporaryとポータブル赤道儀SKYMEMO Sを使用してM20三裂星雲やその周辺の星雲を撮影します。
昨年の夏に1度M20の撮影を行い、このブログで紹介しましたが、ノイズが激しいものになってしまったため、残念に思っていました。そのため、今回再チャレンジを行いました。
目次
- 射手座付近の天の川(焦点距離18mm)
- M8干潟星雲とM20三裂星雲(焦点距離150mm)
- M20三裂星雲(焦点距離600mm)
- M20三裂星雲(トリミング)
- M16わし星雲とM17オメガ星雲 (焦点距離150mm)
- 紹介した星雲が見える時間帯
- 撮影場所
- 撮影に使用した機材の紹介
前回M20三裂星雲やM8干潟星雲を撮影したのは、昨年(2018年)の7月でした。
気温や湿度が高く星雲を撮影する条件として良くなかったことと、ISO感度を12800の試し撮り用の設定のまま撮影してしまったため、ノイズが酷い状態になってしまいました。
その後、ノイズの強さがISO感度だけでなく、気温に大きく影響されることが分かったため、まだ気温の低いこの時期に、撮り直しを行おうと考えていました。
今年(2019年)のゴールデンウイーク10連休を使って、前回と同じ新潟県魚沼市まで撮影に出掛けます。
前回の記事は、こちら。
射手座付近の天の川(焦点距離18mm)
上の写真は、シグマ18-35mm F1.8 DC HSMのレンズを使用して焦点距離18mmで、射手座付近の天の川を撮影したものです。
射手座と蠍座の間に天の川があり、天の川の中央部には暗黒星雲が黒い帯が広がっています。暗黒星雲の黒い帯の部分にM16わし星雲やM17オメガ星雲、M20三裂星雲、M8干潟星雲などが、点在しています。
焦点距離18mmでも、小さいながらもM8干潟星雲などは、その姿を確認できますが、望遠レンズを使って、もっと詳しい様子を見ていきたいと思います。
上の写真は、昨年(2018年)の4月に撮影したものを流用していますので、火星、木星、土星の位置が、現在見える位置とは違っていますが、今年(2019年)は、木星や土星が射手座付近で明るく輝いて、より一層賑やか状態になっています。
M8干潟星雲とM20三裂星雲(焦点距離150mm)
上の写真は、今回、シグマ150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryのレンズを使用して焦点距離150mmで、M8干潟星雲とM20三裂星雲を撮影したものです。
それぞれの星雲の様子がより詳しく分かるとともに、周囲の天の川の星の輝きが華やかさを加えています。
焦点距離150mm(35mm判換算240mm)だと、一眼レフカメラのキットレンズの望遠側でも対応できる範囲に入ってきます。この焦点距離でもM8干潟星雲の様子が十分に楽しめますが、その上のM20三裂星雲は少し小さくて物足りない感じです。
焦点距離150mmだと撮影中のブレの影響も少なく、対象をフレーム内に収める微調整もシビアではないため、撮影は比較的に楽に行えます。
ここから、M20三裂星雲が画面の中央に来るように方向を微調整して、一気に焦点距離600mmまでズームさせます。この時、ピント合わせを再度確認するなどの作業も必要なってきます。
M20三裂星雲(焦点距離600mm)
上の写真は、今回、シグマ150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryのレンズを使用して焦点距離600mmで、M20三裂星雲を撮影したものです。
今回は、ISO感度を1600に設定して撮影しました。
撮影した時の気温は4℃程度で、気温の低さもあって前回と違いノイズの少ない写真になりました。
焦点距離600mmになると方向の微調整が難しいため、今回も被写体が中央から外れていますが、あまり気にしないようにしましょう。少し、星雲の姿小さいので周囲をトリミングして、星雲を拡大して見ます。
M20三裂星雲(トリミング)
M20三裂星雲の周囲をトリミングして、拡大しました。
三裂星雲は、ピンクと青の色の対比が美しく、暗黒星雲の黒い帯が星雲を分割するように横切ることで、趣のある形になっています。私が天体観察や撮影に興味を持つようになった星雲の1つです。
今回の写真は、きれいに写っていますが、少しインパクトが足らない感じです。
前回の写真はノイズが多かったのですが、その影響で逆に、遠い宇宙の天体を必死で捉えようと限界にチャレンジしているような緊張感があったように思います。
今回の写真は、ノイズを減らすという目的は達成できましたが、ちょっと平凡な感じがしました。
M16わし星雲とM17オメガ星雲 (焦点距離150mm)
上の写真は、シグマ150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryのレンズを使用して焦点距離150mmで、M16わし星雲とM17オメガ星雲を撮影したものです。
この2つの星雲は、M8やM20より少し北の方にあります。写真の上の方がM16わし星雲、下の方がM17オメガ星雲です。
カメラをM8に向けようとしたとき、この2つの星雲がフレーム内に入っていたため、M8、M20と間違えてしばらく撮影していました。
一眼レフと焦点距離150mmでは、これらの星雲の魅力を写すのは、少し難しいのかもしれません。M16わし星雲は、その中央部をハッブル宇宙望遠鏡が写した写真が有名で、とても印象的です。みなさんも一度はその写真を目にしたことがあると思います。
その写真が載っているWikipediaの記事へのリンクを貼っておきます。
紹介した星雲が見える時間帯
南の空に、M8干潟星雲やM20三裂星雲が高くみえる時間は、以下の通りです。
4月 1日頃・・・・午前 5時00分頃
4月15日頃・・・・午前 4時00分頃
5月 1日頃・・・・午前 3時00分頃
5月15日頃・・・・午前 2時00分頃
6月 1日頃・・・・午前 1時00分頃
6月15日頃・・・・午前 0時00分頃
7月 1日頃・・・・午後11時00分頃
7月15日頃・・・・午後10時00分頃
8月 1日頃・・・・午後9時00分頃
8月15日頃・・・・午後8時00分頃
月が出ていると、月明かりにより天の川や星雲など光の弱い天体が見えにくくなります。
星空を見るときは、月の出時刻や月の入り時刻なども確認しておきましょう。
本日の月の出や月の入り時刻などが確認できる、国立天文台の暦のページへのリンクです。
撮影場所
撮影場所は、新潟県魚沼市の奥只見レクリエーション都市公園浅草岳地域です。
星空を撮影するために何度も来ていますが、このあたりの星空は、本当に綺麗に輝いています。
冬の間には来たことはないですが、かなり雪が積もるようで、ゴールデンウィークの期間でも溶け残った雪が、あちこちに見られます。関東の平野部よりも1ヶ月遅れで、ゴールデンウイークが桜の見頃になっています。国道252号線は、除雪が終わり冬季通行止めが解除されていたので、撮影後、福島県側へ抜けて南会津郡などをドライブしてきましたが、こちらも桜が見頃です。
田子倉湖の桜の様子
このブログ記事に関連した本の紹介
ポータブル赤道儀で星空写真を撮ろう!: 星の動きを追って、満天の星が記録できる
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天体写真の教科書: 星・月・太陽、天体別機材選びから徹底解説
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さまざまなレンズを使用して星空を撮影した写真を比較しているマニアックな本です。
星空撮影用のレンズをお探しの方におすすめ!
撮影に使用した機材の紹介
ポータブル赤道儀
今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)
ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡用赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。
実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡用赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。
※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用とポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。
カメラ
カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。
星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadやiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadやiPhoneなどのスマホやタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホやタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。
星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。
現在EOS70Dの後継にあたるEOS90Dが発売されています。
レンズ
望遠レンズは、SIGMA 150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使用しています。
下のリンクは、ニコン用マウントのレンズにリンクしています。キヤノン用やSIGMA用のマウントのレンズはリンク先で「キヤノン用」「SIGMA用」のスタイル名を選択して下さい。
SIGMA 望遠ズームレンズ Contemporary 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM ニコン用 745554
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冒頭の天の川の写真を撮影したのが、シグマ18-35mm F1.8 DC HSMです。
広角側の焦点距離は18mmで、シグマ10‐20mm F3.5やTOKINA AT-X11-20mm F2.8よりも視界は狭くなりますが、シグマ18-35mm F1.8の魅力は何といってもF1.8という明るさです。これまで主に使用していたシグマ10‐20mmF3.5に比べて4倍明るいため、これまでより露出時間を1/4に短くすることができます。
天の川の撮影には、F3.5、ISO1600の設定で1~2分の露出時間で撮っていたのが、シグマ18-35mmF1.8では、15~30秒程で済むことになります。赤道儀を使って星景写真を撮る場合、露出時間が長いと地上の景色が流れるのが気になるのですが、そのような問題を緩和してくれます。もしかしたら、赤道儀を使用しなくても星を点で写せるレベルです。画像もシャープで、これからの撮影で出番が増えそうな感じです。
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