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八ヶ岳周辺の星空と紅葉の様子 '17年10月

 今回は、長野県と山梨県にまたがる日本百名山の1つである八ヶ岳周辺の星空と紅葉の様子について紹介したいと思います。都心からのアクセスも比較的良好な八ヶ岳周辺は、標高も高く綺麗な星空が広がるスポットということで、紅葉と一緒に見に行ってきました。 

 

目次

 

八千穂高原(国道299号線沿い)

星空と紅葉の様子(2017年10月26日)

長野県佐久穂町から八ヶ岳麦草峠を越えて長野県茅野市に抜ける国道299号線は、メルヘン街道とも呼ばれています。麦草峠は国道としては2番目に高い標高2127mの地点であり、是非ともここで星空を見たいと思っていたのですが、積雪と路面凍結で通行止めとなっており麦草峠には行けませんでした。冬季は通行止めになるようです。そのため、途中のレストハウスふるさと(標高約1700m)の駐車場で、星空を撮影しながら夜を明かしました。

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撮影データ

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上の写真は、北西の空に沈みゆく秋の天の川の様子です。空の低い部分については、光害の影響で空自体が明るく写ってしまっていますが、それでも淡い秋の天の川が比較的鮮明に写っているため十分に暗いといえます。南西側の空は北西側の空よりも光害の影響が大きく、写真で撮影すると地平線付近の空が明るく見えます。しかし、ある程度空の高い部分では十分に澄んだ星空を見ることができます。例えば、南の空に昇ってきたオリオン座を撮影すると下の写真のような感じで空は十分に暗いといえます。

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撮影データ

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オリオン大星雲の部分の拡大

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上の写真は、50mmの単焦点レンズで撮影したオリオン座の星々です。オリオン座の真ん中の三つ星の少し下には有名なオリオン大星雲(M42)がありますが、その部分を拡大してみるとオリオン大星雲や馬頭星雲などの星雲が思っていたより鮮明に写っており、ポータブル赤道儀一眼レフカメラという天体望遠鏡を使用しない構成でも、星雲まできちんと撮影できることは驚きました。理由の一つには、撮影地の標高が高く大気の揺らぎ等の影響が少ないことがあると思われます。

 

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夜が明け始めると東の空に素晴らしい朝焼け見られました。夜から朝へのグラデーションがとても鮮やかです。

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 朝日が昇ると八ヶ岳の麓には雲海が広がっていました。台風21号の影響で前日まで雨が降っており気温も低かったため発生したのでしょう。写真中央には、山頂付近に白く雪をかぶった浅間山が見え、朝日を浴びてオレンジ色に染まったカラマツの紅葉も鮮やかです。夜明けの時間帯にレストハウスの駐車場には自動車がひっきりなしに訪れ、何事かなと思っていたのですが、どうも雲海目当てだったようです。

 

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レストハウスふるさとから国道299号線佐久穂町方面に少し下ると標高1400m付近まで白樺群生地が広がっており、八千穂高原自然園(有料)が白樺と紅葉のスポットになっています。今の時期、白樺の白い幹が赤や黄色の紅葉に更なる彩り加えた美しい景色は、八千穂高原ならでは光景で、メルヘン街道という名前にふさわしいと感じました。

(追記)11月1日時点では、八千穂高原の白樺群生地のもみじの紅葉は終わり、より標高の低い地域が見頃です。

 

撮影地 (長野県佐久穂町 八千穂高原)

 

野辺山高原

野辺山高原の星空(10月26日)

 八千穂高原から国道141号線を南へと行くと八ヶ岳山麓の緩やかな斜面に野辺山高原が広がっています。下のパノラマ写真の左側に見えるのが八ヶ岳です。

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標高は全域で1300m程度あり、農地が広がっているため視界が開けています。今回は、八ヶ岳を入れた構図で星空を撮影をしようと考えており、昼間にロケハンした感じでは、星空の撮影はどこででもできそうな気がしていましたが、実際に夜に撮影して見ると民家の明かり等が明るく写真に写り込んできてしまうため、なるべく八ヶ岳近くの方に移動して民家の明かりを避ける必要がありました。

 

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撮影データf:id:hoshi-hana:20171030051216j:plain

上の写真は、八ヶ岳をシルエットにして沈む夏の大三角と天の川です。 山向こうからくる人工光がかなり明るい印象です。八ヶ岳周辺の星空は、空の高い部分は十分に暗いのですが、地平近くは光害の影響が見られます。八ヶ岳周辺エリアでは、星と風景を一緒に撮る星景写真を撮るよりも、星空のみの撮影や観測の方が向いているのかもしれません。

 

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また、野辺山には国立天文台野辺山宇宙電波観測所があり、アンテナ直径45mの巨大な電波望遠鏡(パラボラアンテナ)が設置されています。離れた場所から見ても白いパラボラアンテナが森の中で異彩を放っていますね。アンテナは、宇宙人との交信のために設置されたものではなく、宇宙の様子を詳しく観測するためのものだそうですよ。

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近くまで行ってみるとこんな感じです。施設は、昼間に受付の守衛で申し出れば、見学が可能です。興味のある方は是非見学してみて下さい。

 

撮影地(長野県南牧村 野辺山高原)

 

③長野県茅野市 御射鹿池

御射鹿池の紅葉(10月27日)

 野辺山高原から八ヶ岳の南側をまわって長野県茅野市の御射鹿池に移動しました。

御射鹿池は、日本画家の東山魁夷画伯の作品「緑響く」のモチーフになった池として観光スポットになっています。今の時期は、木々が色付き始めていました。

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カラマツなど針葉樹の真っ直ぐに伸びた幹と三角形に茂る柔らかな葉がリズム感をもって重なりデザイン画的な印象を受けます。木々の姿が池に反射する様子も「緑響く」の絵の感じそのままのように思えました。

茅野市の市街地から御射鹿池の駐車場に着くまでにかなり急な坂を自動車で登ります。途中で標識などが見当たらずナビだけを頼りに進み、こんな急斜面に本当に池があるのかと不安になる頃たどり着きました。 御射鹿池には朝6時頃に着いたのですが、既に多くの人がカメラを構えて集まっており、すごい人気です。

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 駐車場に車を停めて、歩道から撮影を行います。池の手前側にある木が視界を遮るため、木々の間から池を撮影しようとすると、撮影できる場所はだいぶ限られてしまいます。限られた場所に人が集まっているので、落ち着いて写真を撮るという感じには、なりませんでした。

 ぱっと見た印象では、御射鹿池はただの溜め池で、特に他の池と違う感じは見られなかったのですが、写真に撮って改めて見ると絵画的または詩的な感じがあり「緑響く」の絵の印象に近いことに驚きました。御射鹿池の良さは、じっくりと見て味わう必要がありそうです。

 

撮影地(長野県茅野市 御射鹿池)

 

まとめ

星空について、以前に紹介した戦場ヶ原と比較した今回紹介した八ヶ岳周辺での印象を比較しました。

星空の見え方

 天頂付近の光害の少なさは、戦場ヶ原と八ヶ岳周辺エリアで同じくらい感じます。地上付近の明るさは、写真に写った様子をみると八ヶ岳周辺エリアの方が明るいと思います。そのため、八ヶ岳周辺では地上付近と天頂部の明るさの変化が大きく、星景写真の場合は撮影した後の処理がやり辛いと感じました。

 標高の比較では、戦場ヶ原が1400mで、八ヶ岳周辺エリアは、1300m~2000mと八ヶ岳周辺エリアの方が標高の高い場所までたどり着けるため、より澄んだ星空が期待できます。

 

都心からのアクセス

都心から自動車で行く場合の所要時間を比較すると、

 東京駅前~戦場ヶ原 総距離184.2km 所要時間2時間47分

 東京駅前~野辺山 総距離175.1km 所要時間2時間36分

とほぼ同じ時間で辿り着けます。八ヶ岳周辺エリアは、思ったより都心からのアクセスが良い場所です。また、野辺山高原にはJR野辺山駅があり、電車でもアクセスが可能です。

ただし、皆さんが住んでいるエリアにより、戦場ヶ原と八ヶ岳周辺のどちらが近いかは異なると思います。

 

よろしければ、星を見に行く上での参考にして下さい。

旅の記録にいかがでしょうか。(Amazonへのリンク)

 

撮影に使用した機材の紹介

ポータブル赤道儀

今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)

Kenko ポータブル赤道儀 スカイメモS レッド 455173

Kenko ポータブル赤道儀 スカイメモS レッド 455173

  • 発売日: 2015/04/21
  • メディア: エレクトロニクス
 

 

ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。

実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。

※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用とポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。

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hoshi-hana.hatenablog.jp

 

カメラ

カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。

星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadiPhoneなどのスマホタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。

星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。

現在EOS70Dの後継にあたるEOS80Dが発売されています。 

 

レンズ

レンズは、EOS70Dのキットレンズとともにシグマ10-20mm F3.5 EX DC HSMを使用しています。星空のみ写真ではあまり変化がないため、地上の景色と一緒に撮影する星景写真において、EOS70DのキットレンズEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMでは、星空と景色を一緒に広範囲にとらえきれないため、より広角のレンズを購入しました。その後、TOKINA AT-X 11-20 PRO DX CAFが発売され、星空の撮影用として評判が良いようです。

 

SIGMA 超広角ズームレンズ 10-20mm F3.5 EX DC HSM キヤノン用 APS-C専用 202545

SIGMA 超広角ズームレンズ 10-20mm F3.5 EX DC HSM キヤノン用 APS-C専用 202545