霧ヶ峰で見る星空 天の川と雲海が広がる景色
星空の撮影スポットとして少し前から気になっていた「霧ヶ峰」に出掛けることにしました。霧ヶ峰や車山高原を走る県道40号線(ビーナスライン)沿いには、いくつか展望スポットがありますが、今回訪れたのは、霧ヶ峰の富士見台展望台です。
一面に草地が広がっているため視界が開けており、見晴らしがとても良い場所です。富士見台展望台からは、八ヶ岳や富士山や日本アルプスなどの日本を代表する高い山々が見渡せます。標高も1700m程度あり自動車でアクセスできる場所としては高いため、車で移動して星空を撮影するのにとても都合の良い場所だと思っています。
冬の間も霧ヶ峰周辺の県道40号線は除雪されており、「冬季通行止め」といった長期間の通行止めにならないため、先日書いたブログで諏訪湖の御神渡りを見に行く際などに通過して撮影スポットとして気になっていました。ですが、標高が高く夜間は気温が‐10℃を軽く下回るような状態だったため、真冬の間の星空の撮影は、寒すぎて厳しいと感じていました。それから日にちが経過し、だいぶ暖かくなってきたため、さっそく撮影に出掛けてきました。
目次
- 霧ヶ峰富士見台展望台から見た夕焼け
- 霧ヶ峰富士見台展望台から見た天の川と雲海①
- 霧ヶ峰富士見台展望台から見た天の川と雲海②
- 霧ヶ峰富士見台展望台から見た朝焼け
- まとめ
- 撮影地
- 撮影に使用した機材の紹介
霧ヶ峰富士見台展望台から見た夕焼け
霧ヶ峰からみた夕焼けです。空は雲一つない快晴で、星空を撮影するのに絶好の日和だと確信して撮影準備に取り掛かったのですが、ちょっと甘かったです。
このあと夕焼けの明るさが薄れていくとともに、急激に雲が広がり始めました。撮影の準備ができた頃には、空の半分程度が雲に覆われる状態になっていました。少し待てば雲が流れて空が晴れ渡るかと思い、しばらく待っていたのですが、状況は悪くなるばかりで、そのうち空は全面的に雲に覆われてしまい、霧まで出てきました。
天気予報等を確認しても周辺地域は雲が広がる予報ではなかったのですが、霧ヶ峰の名はダテではないようです。
恐るべし「霧ヶ峰」!!
ということで、一旦撤収を余儀なくされました。
そのような状況でしたが、せっかくここまで来たのに手ぶらで帰る訳にはいかないため、善後策を考えました。
撮影地を移動することも考えましたが、
①天気予報では快晴予報となっており、厚い雲はないと思われること
②陽が落ちて気温が下がってから雲や霧がかかり始めた状況から、時間が経って徐々に気温が下がると雲の高度はどんどん下がり、標高が高い霧ヶ峰では、夜半過ぎ頃には雲を抜けることができるのでは、と考えたこと
などから霧ヶ峰で霧が晴れるのを待つことにしました。
それからしばらく時間が経過し午前0時を過ぎましたが、まだ霧は濃く、風が強く吹き付けており、本当に晴れるか心配になってきました。
午前1時から2時頃には、時折、霧の間から星空が見えるときがありましたが、長くは続かずまたすぐに霧に包まれてしまいます。
午前3時頃には少し霧が薄くなり、下の写真のようにぼんやりと星が見え始めてきました。このままいけば、明け方前には霧が晴れそうな感じです。次第にテンションが上がってきます。
まだ霧がかかった中でぼんやりと見え始めた星々の輝きが、希望の光となりました。
霧ヶ峰富士見台展望台から見た天の川と雲海①
午前3時半頃やっと周辺の霧が晴れ、風も止んで、天上に一面の星空が広がりました。霧雲は標高の低い方に移動して、雲海となっています。東の空には夏の天の川が既に昇り、雲海と天の川の両方を一度に見れるという、この上ない光景が広がっていました。
まだ、少し空に湿気が残っているので、空の低い部分は少し透明度が低く、街の明かりを霧が反射して黄色く輝いていますが、天の川の部分は鮮明に見ることができます。
気温は‐5℃くらいで、真冬ほどの寒さは無く、風も止んだため、撮影準備をすることができる温度でした。
霧ヶ峰富士見台展望台から見た天の川と雲海②
午前5時前の南の方角を写した1枚です。雲海が市街地の明かりに照らされて明るく輝いています。雲海が街の明かりを遮ることにより、光害の影響が抑えられ星が一層輝いて見えているのではないかと感じられました。
この頃になると夜が白み始め、天の川は、だんだんと背景の空の色に溶け込んでいき、薄くなっていきます。
霧ヶ峰の富士見台展望台は南側に開けており、さそり座のシッポの部分の空の低い位置にしか昇ってこない星々も山や木などに隠れることなく見ることができます。北の方向も木々がないため北極星がしっかり見え、赤道儀の極軸合わせも問題なく行えます。
標高が高い場所で、周囲の見晴らしが良く、自動車でのアクセスが可能で、天の川が見れる夜空の暗い場所というのは、なかなか見当たらないので、霧ヶ峰周辺は貴重な星空の撮影スポットの一つだと思います。
星空の解説
撮影をしたのは3月中旬ですが、明け方の空には夏の星座が輝いています。さそり座は、南の低い空に見える星座ですが、南側の見通しが良いので、おおかみ座(狼座)やみなみのかんむり座(南の冠座)などさらに南側の星座も見れました。てんびん座の領域でひと際明るく輝いているのが木星です。そしていて座付近には、火星と土星が輝いており、夏の天の川周辺に惑星が集まり賑やかです。通常の年だとこれらの惑星の見える方向が異なるため、一度にそれぞれの惑星を観察することは難しいのですが、今年(2018年)前半は、火星、木星、土星を一度に観察できる機会になります。
写真の星空が見える時間帯
南の空にさそり座が高くみえる時間は、以下の通りです。
3月15日頃・・・・午前 4時30分頃
4月 1日頃・・・・午前 3時30分頃
4月15日頃・・・・午前 2時30分頃
5月 1日頃・・・・午前 1時30分頃
5月15日頃・・・・午前 0時30分頃
6月 1日頃・・・・午後11時30分頃
6月15日頃・・・・午後10時30分頃
7月 1日頃・・・・午後 9時30分頃
7月15日頃・・・・午後 8時30分頃
8月 1日頃・・・・午後 7時30分頃
月が出ていると、月明かりにより星や天の川が見えにくくなります。
星空を見るときは、月の出時刻や月の入り時刻なども確認しておきましょう。
本日の月の出や月の入り時刻などが確認できる、国立天文台の暦のページへのリンクです。
霧ヶ峰富士見台展望台から見た朝焼け
午前6時頃の霧ヶ峰から見た南東の方角の光景です。穏やかで神秘的な朝焼けの光景が広がっています。ピンク色とオレンジ色の中間くらいに色付いた朝焼けをバックにして、足元に一面に広がる雲海の上に八ヶ岳、富士山、南アルプスの山々が浮かんでいます。特に頂上に雪をかぶり、わずかに青みがかった南アルプスの山々のシャープな稜線が空の色との対比により、とても神秘的に見えました。
夜中出ていた霧が雲海となったため遠くまで澄み渡り、富士山まで良く見える朝焼けでした。その朝焼けのパノラマ写真です。
まとめ
霧ヶ峰の富士見台展望台は、標高が1700mあり、周囲の見晴らしが良く、自動車でのアクセスも容易なため、星空を見たり撮影したりすることができるスポットの1つです。
街明かりの影響で空の低い部分が少し明るい点と、霧が発生することで星空が見れないときがあることが少しマイナスですが、霧雲が雲海となって足元に広がったときの星空や朝焼けは、とても印象的な光景となります。霧が晴れることを願いながら、待ってみるのも良いかもしれません。
撮影地
霧ヶ峰周辺は、涼しい気候や高山植物や爽やかな景色のため、特に夏に人気のあるスポットです。 周辺には、見晴らしの良い展望台がいくつかありますが、南側に突き出た尾根部で標高の高い富士見台展望台の見晴らしが一番良いと感じています。
県道40号線は、除雪がされるため冬でも通行できますが、雪が多いときは除雪された雪で富士見台展望台の駐車場が埋まり、車を停められないことがあります。
県道40号線を、諏訪湖側に下っていくと諏訪湖を見渡せる夜景スポットの立石公園にたどり着きます。セットで訪れることをお勧めします。
このブログ記事に関連した本の紹介
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撮影に使用した機材の紹介
ポータブル赤道儀
今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)
ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡用赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。
実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡用赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。
※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用とポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。
カメラ
カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。
星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadやiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadやiPhoneなどのスマホやタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホやタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。
星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。
現在EOS70Dの後継にあたるEOS90Dが発売されています。
レンズ
レンズは、EOS70Dのキットレンズとともにシグマ10-20mm F3.5 EX DC HSMを使用しています。星空のみ写真ではあまり変化がないため、地上の景色と一緒に撮影する星景写真において、EOS70DのキットレンズEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMでは、星空と景色を一緒に広範囲にとらえきれないため、より広角のレンズを購入しました。その後、TOKINA AT-X 11-20 PRO DX CAFが発売され、星空の撮影用として評判が良いようです。
SIGMA 超広角ズームレンズ 10-20mm F3.5 EX DC HSM キヤノン用 APS-C専用 202545
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Tokina 超広角ズームレンズ AT-X 11-20 F2.8 PRO DX 11-20mm F2.8 Canon用 フード付属 APS-C対応 634394
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