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ネオワイズ彗星 (C/2020 F3)と夏の日本海の夕焼け

 今回は、一眼レフカメラポータブル赤道儀を使用してネオワイズ彗星(C/2020 F3)の撮影を行いました。

 NEOWISE彗星は久しぶり現れた明るい彗星であるため、これはどうしても撮影しなければと思い、7月19日に晴れ間を求めて新潟県村上市まで移動して撮影してきました。

【目次】

 

撮影機材の構成

 カメラ:CANON EOS 70D

 レンズ:Canon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM

    :シグマ18-35mm F1.8 DC HSM

 ポータブル赤道儀:Kenko SKYMEMO S

 三脚:ベルボン Sherpa 635 Ⅱ

 

 一眼レフカメラとキットレンズCanon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMなどを使って撮影を行いました。レンズの手振れ補正はOFFで使用します。

 ズームして望遠側で撮影する際には、ポータブル赤道儀で星を追尾することで、星が流れずに写すことができます。

 

撮影地の夕焼け

 天気予報等インターネットの情報をフル活用して、陽が沈む直前に新潟県村上市にたどり着きました。下の写真は、その時の水平線に沈みゆく夕日の様子です。

日本海に沈む夕日はとても綺麗だったのですが、ネオワイズ彗星は北西方向の空の低い位置に見えるため、北西の空に雲が思っていたよりも多いことが気になります。

西の方から雲が移動してくるため、なるべく東の方へと今回はかなりの長距離を移動してきたのですが、空模様をみると雲がかなり邪魔になるのではと心配になりました。

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ネオワイズ彗星の写真(焦点距離18mm)

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カメラ Canon EOS70D
レンズ シグマ EF-S18-35mm F1.8 DC HSM
赤道儀 ポータブル赤道儀スカイメモSを対恒星追尾モードで使用
ISO感度 800
絞り値 f/1.8
露出時間 5sec
焦点距離 18mm (35mm判換算で29mm)
その他 Photoshop Elementによりレベル調整、ノイズ低減

上の写真は、7月19日午後8時20分頃に撮影したネオワイズ彗星の様子です。日没から大分時間が経っていますが、写真で撮影するとまだ明るさが残っています。

写真の中央部分に雲の間から彗星が見えています。肉眼で見るとどれが雲でどれが彗星なのかがわかりずらい状態でした。

F値1.8の明るいレンズを使用して絞り開放で、ISO感度800、露出時間5秒で撮影しています。

露出時間5秒くらいだとポータブル赤道儀での追尾は必要なく、だたカメラを三脚に固定しているだけでもよいレベルですが、それでも十分明るく彗星が写っており、写真撮影はやりやすいと感じました。

 

ネオワイズ彗星の写真(焦点距離135mm)

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カメラ Canon EOS70D
レンズ Canon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM
赤道儀 ポータブル赤道儀スカイメモSを対恒星追尾モードで使用
ISO感度 3200
絞り値 f/5.6
露出時間 20sec
焦点距離 135mm (35mm判換算で216mm)
その他 Photoshop Elementによりレベル調整、ノイズ低減

上の写真は、7月19日午後8時50分頃に焦点距離135mmで撮影したネオワイズ彗星の様子です。

午後9時近くになってようやく空が十分に暗くなり、雲も少なくなり絶好の撮影条件となりました。キットレンズEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMの望遠端で彗星の様子を拡大して撮影しました。焦点距離135mm(35mm判換算216mm)だとネオワイズ彗星が画面にちょうど収まる感じ拡大できます。

絞り値f/5.6、ISO感度3200、露出時間20秒で撮影すると長く伸びるネオワイズ彗星の尾の様子がよく分かります。なんとなくですが、彗星の尾が2つに分かれている様子も確認できます。彗星の核は薄い青緑色です。

慌てて行った極軸合わせがあまり良くなかったせいなのか、周囲の星の像が少し流れていますが、ポータブル赤道儀による追尾撮影の効果が出ていると思います。

 

ネオワイズ彗星と北斗七星の位置関係(焦点距離18mm)

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カメラ Canon EOS70D
レンズ Canon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM
赤道儀 ポータブル赤道儀スカイメモSを対恒星追尾モードで使用
ISO感度 3200
絞り値 f/3.5
露出時間 15sec
焦点距離 18mm (35mm判換算で29mm)
その他 Photoshop Elementによりレベル調整、ノイズ低減

上の写真は、7月19日午後9時頃に焦点距離18mmで撮影したネオワイズ彗星と北斗七星の位置関係です。

 

ネオワイズ彗星は、今後、日ごとに北斗七星近づくように空の高い方へ移動していきます。これまで、山などに隠れて見えなかった場所でも見えるようになるため、まだまだ観測のチャンスは、十分にあると思います。

北西の空に沈もうとしている北斗七星を目印にすると見つけやすいのですが、肉眼で見ると写真で写すよりぼやけて見え、イマイチな印象になると思います。できるだけ写真で撮影してみることをお勧めします。

カメラを固定する3脚とピントを手動で合わせられるマニュアルフォーカス機能のあるカメラであれば、ネオワイズ彗星は、比較的簡単に撮影ができると思います。

 

 

撮影場所

新潟県村上市 瀬波温泉海水浴場

 今回は、北西の空の低い部分まで良く見える場所で、天気が良くて、光害が少ない場所ということで、新潟県村上市の瀬波海岸まで移動して撮影を行いました。村上市新潟県の北の方で山形県との県境もすぐの所です。

 日本海に沈む夕陽が綺麗でした。その光景は、3年前に旅行した北海道のオロロンラインの風景を思い出します。穏やかな波とオレンジ色の夕焼けと今回と同じようなすじ状の雲がたなびいているオロロンラインの夕景の様子は、今でも強く印象に残っています。

 瀬波海岸には、夜でも彗星をみるために多くの人が出ていて驚きました。今回のネオワイズ彗星の注目度の高さがうかがえます。

 

hoshi-hana.hatenablog.jp

 

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このブログ記事に関連した本の紹介

 

 

 さまざまなレンズを使用して星空を撮影した写真を比較しているマニアックな本です。

星空撮影用のレンズをお探しの方におすすめ!

写真レンズ星空実写カタログ: 星空撮影&夜景撮影のための

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撮影に使用した機材の紹介

ポータブル赤道儀

今回の撮影に使用したポータブル赤道儀は、kenkoのスカイメモSです。(微動雲台、アリガタプレート、バランスウェートは使用していません)

Kenko ポータブル赤道儀 スカイメモS レッド 455173

Kenko ポータブル赤道儀 スカイメモS レッド 455173

  • 発売日: 2015/04/21
  • メディア: エレクトロニクス
 

 

ポータブル赤道儀を購入する際に、Vixenのポラリエと迷ったのですが、スカイメモSの形の方が一般的な天体望遠鏡赤道儀と同じフォルムで安心感があったこともあり、スカイメモSを選びました。

実際にカメラ用三脚に取り付けて撮影しようとすると天体望遠鏡赤道儀に比べ安定感がなく、大丈夫かなと心配になりましたが、現状では期待以上の結果を出してくれています。

※この手のポータブル赤道儀を使用してカメラで星空を撮影する場合は、三脚とポータブル赤道儀の固定用、ポータブル赤道儀とカメラの固定用に2個の雲台が必要です。

hoshi-hana.hatenablog.jp

 

カメラ

カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。

星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadiPhoneなどのスマホタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホタブレット上ですぐにでき、設定値の調整に役立っています。

星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。

現在EOS70Dの後継にあたるEOS90Dが発売されています。

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 90D ボディー EOS90D

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 90D ボディー EOS90D

  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: エレクトロニクス
 

 

レンズ

今回の彗星の撮影では、シグマ18-35mm F1.8 DC HSMとEOS70DのキットレンズCanon EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMを使用しています。

シグマ18-35mm F1.8 DC HSMは、明るいレンズのため、通常より短い露出時間で撮影ができます。最近の曇りがちな天気のため、雲に邪魔されないようにできるだけ露出時間を抑える目的で準備していました。

SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art A013 | Canon EF-Sマウント | APS-C/Super35

SIGMA 18-35mm F1.8 DC HSM | Art A013 | Canon EF-Sマウント | APS-C/Super35

  • 発売日: 2013/06/28
  • メディア: エレクトロニクス