600mm超望遠レンズで天体撮影② 月のクレーター
焦点距離600mmの超望遠レンズで、どのくらい鮮明に天体撮影が可能か?をチャレンジするシリーズの第2回目になる今回レンズを向ける対象は、月のクレーターです。
月は都会の明るい空の下でも容易に観察することができます。天体望遠鏡を初めて買った時に、多くの人が一番最初に観測を行う天体が月だと思います。望遠鏡を覗いて見えた月のクレーターは、とても感動的なものでした。
以前にも、レンズにSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使用して焦点距離600mm(35mm判換算の焦点距離960mm)でスーパームーンや皆既月食を撮影した様子を記事にしましたが、満月の撮影だったため、月のクレーターについては良く見えませんでした。月のクレーターを観察するには、月の正面から太陽光が当たった状態の満月よりも、斜めから太陽光が当たった状態の半月ぐらいの方が、クレーターの縁に影ができるため、立体的に良く見えます。
目次
撮影機材の構成
今回の月面の撮影では、ポータブル赤道儀を使わずに、三脚に望遠レンズとカメラを固定して撮影しました。この方法だと、撮影中に月が画面の内を移動してしまうため、何度もレンズの方向の微調整を繰り返しながら撮影を行いました。
月は、他の星々や天の川や星雲などに比べてとても明るいので、撮影時間自体は、とても短くて済みます。月の撮影の場合は、カメラを直接三脚に固定して撮影しても、特に問題なく撮影ができます。撮影の際は、シャッターを切るときにブレないようにレリーズを使っています。
撮影結果①月齢 8(上弦の月)
上の写真は、半月(上弦の月)の様子です。ISO感度400、シャッタースピード1/250秒で、シャッタースピードを上げてカメラの標準露出より少し暗めで撮影しています。月の全体を撮影する場合には、標準露出のシャッタースピードでは、明るく写りすぎ、クレーターの縁の影の部分や月の海の部分が見えづらくなってしまうからです。
レンズのテレ端の焦点距離600mm(35mm判換算960mm)で撮影していますが、天体望遠鏡に比べて倍率が低いため、月は小さめに見えます。しかしながら、月のクレーターなどは、しっかり見えて十分に月面を楽しめます。EOS70Dでは、ライブビュー画面で5倍や10倍に拡大して見ることができるので、そのようにすると望遠レンズとカメラでも天体望遠鏡で見るような月のクレーターの様子を観察できました。写真では等倍でしか撮影できないので、撮影したあと家に帰って写真の月の部分を拡大しトリミングしたのが下の写真です。
今回の月面の写真は、 同じ設定で連続して撮影した7枚の写真を加算平均合成した写真です。加算合成を行うことでノイズを低減し、ざらついた感じを抑えるしっとりした感じの写真にすることができます。
写真に写っている月面の地形とクレーターの名前について調べてみました。
月面で黒く見える部分は「海」と呼ばれ、それぞれ名前がついています。また、クレーターにもそれぞれ名前が付けられています。クレーターの名前は、月の影の部分の境目付近の大きめのものをピックアップして示してみました。
半月頃の月の影の境目は、大小のクレーターが密集しているため見応えがあります。
月面の地形で私が気に入っているのがアルプス山脈を横切るアルプス谷と呼ばれる谷です。上の写真ではWeb用に解像度を落としている関係もあり、少し見えづらいのですが、それでも確認することができます。
撮影結果②月齢 9
上の写真は、撮影結果①の次の日に撮影した月面の様子です。月齢8の月面より明るく輝ている部分が少し増えています。肉眼で見るとあまり違いに気づかないと思いますが、写真に撮って拡大して確認すると着実に満ち欠けが進行している様子が分かります。輝いている部分と影の部分の境目が徐々に動いていくため、その日ごとに違ったクレーターを観察することができます。
撮影結果③月齢 11
半月を過ぎ月齢11ぐらいになると ティコやコペルニクスなどのクレーターから放射状に伸びる光条(レイ)がよく見えます。半月の時によく見えていたクレーターは、太陽の光が正面から当たるようになってくるため、分かりにくくなっています。
月に関連した過去の記事
まとめ
焦点距離600mmの望遠レンズを使用すると、カメラを三脚に固定する方法でも十分にはっきりと月のクレーターを見たり撮影したりすることができます。観察する場合はライブビューを使って拡大して見ると便利です。
クレーターを観察する場合は、半月の頃がもっとも観察に適しています。月の暦を確認する場合は、下記リンクを参照してみて下さい。
ブログ記事に関連した本
クレーターなど月の地形をより詳しく知りたい方へ
撮影に使用した機材の紹介
カメラ
カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。
星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadやiPhoneとカメラをWi-Fi接続することで、iPadやiPhoneなどのスマホやタブレット端末からワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮影した写真の確認もスマホやタブレット上ですぐにでき、各値の調整に役立っています。
星空の撮影では露出時間が必要なため、以前であれば長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことでカメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになりすごく快適になりました。
現在EOS70Dの後継にあたるEOS90Dが発売されています。
レンズ
レンズは、SIGMA 150‐600mm F5-6.3 DG OS HSM Contemporaryを使用しています。600mmまでカバーしている望遠レンズの中でコストパフォーマンスが良くネット上の評判の良いものとして選んでいます。
自分が購入した目的の1つは、月の写真を撮ることでした。手振れ補正機能を使うことで手持ちでもそこそこブレずに月を写すことが出来ますが、やはりきちんと三脚に固定して写した方がシャープに写ります。三脚に固定して撮影する場合は、手振れ補正をONにすると逆にブレる場合があり、その際は手振れ補正をOFFにして使用します。
望遠鏡よりも持ち運びに便利なため、ズーム機能をファインダー代わりに天体望遠鏡としても使えないかなぁとも考えています。
下のリンクは、ニコン用マウントのレンズにリンクしています。キヤノン用やSIGMA用のマウントのレンズはリンク先で「キヤノン用」「SIGMA用」のスタイル名を選択して下さい。
SIGMA 望遠ズームレンズ Contemporary 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM ニコン用 745554
- 出版社/メーカー: シグマ
- 発売日: 2015/05/29
- メディア: エレクトロニクス
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諏訪湖の夜景と御神渡り
地球温暖化の影響を考えると次に御神渡りが見れるのは、いつになるのだろう?
という思いが募り、長野県の諏訪湖を訪れました。
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全面氷結した諏訪湖の夜景
立石公園から見た諏訪湖の夕刻黄昏時の夜景です。立石公園は、諏訪湖と周辺の諏訪市や下諏訪町や岡谷市など市街地を見渡せる高台にあり、諏訪湖を取り囲むように広がっている街の様子が一望できます。日本の「夜景100選」にも選定されており、日が沈むときの夕焼けの光景と街の夜景がとても綺麗な場所です。
夕日が沈むまでは、公園は、観光客などでそれなりに人で賑わっていましたが、この写真を撮った夜景が映える頃には、ほとんど人は残っておらず、吹き抜ける北風がとても冷たく感じられるのですが、寒ければ寒いほど夜景の明かりが綺麗に思えてきます。
諏訪湖は全面が氷結しており、諏訪湖からさほど離れていない立石公園からは、夕日の残照や街の明かりに照らされて氷の表面に不思議な模様が浮かび上がっている様子がよく見えました。
夕方までは良く晴れていたので、このまま、立石公園からの夜景と星の日周運動を撮影していたのですが、陽が沈むと写真の中央よりやや右側に見える塩尻峠を越えて、雲がどんどん諏訪湖の方に流れ込んで来たため、星空はうまく撮影できませんでした。
立石公園の場所
立石公園には駐車場も整備されており、比較的アクセスしやすい場所です。
御神渡り
御神渡りを見るための絶好のポイントは、立石公園から諏訪湖畔を1/4周ほど反時計回りに回ったところにある赤砂崎公園です。赤砂崎公園では、目の前の湖畔から沖合の方へ伸びる御神渡りの姿を見ることができます。
上の写真は、日の出前の赤砂崎公園からみた御神渡りの様子です。まだ早い時間にも関わらず、赤砂崎公園には御神渡りを見に多くの人が集まっていました。
時折、氷が割れるようなパキパキといった音や、もっと低い氷がぶつかったような音が聞こえており、氷が動いていることが感じられました。
御神渡りを見た時から、だいぶ日にちが経過しており御神渡りの状況は変わってきています。私が参考にした下記リンクの情報によると今年の御神渡りも見納めのようです。
次の機会が何年後になるか分かりませんが、また、諏訪湖の全面氷結と御神渡りの様子を見たいと思いました。
https://shimosuwaonsen.jp/info/omiwatari/
赤砂崎公園の場所
赤砂崎公園は、湖畔に広い駐車場が整備されています。御神渡りの氷の割れ目が湖岸から沖の方へと伸びている光景を楽しめるポイントでした。