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星景写真におけるソフトフィルターの効果

星空を印象的に撮影したいと思った時、効果があるアイテムの1つがソフトフィルターです。ソフトフィルターの効果とソフトフィルターを使用して星景写真を撮影する時の注意点について、書きたいと思います。

 

目次

 

ソフトフィルターとは

 ソフトフィルターとは、光をにじませ、写真の雰囲気をソフトにするフィルターです。

 星景写真では、星を大きく写したいときによく使われます。

 下の写真のような円形のフィルターで、デジタル一眼カメラなどのレンズの先端に装着して使用します。レンズの先端にはフィルター装着用の雌ねじが切ってあり、フィルター外周部には雄ねじが切ってあるので、それらを合わせて手でねじ込んで装着するタイプが一般的です。

レンズごとに装着可能なフィルター径が決まっているため、そのフィルター径のフィルターを購入しなければ取り付きません。また、魚眼レンズや超広角レンズなど1部の交換レンズでは、レンズ面が飛び出しているため、フィルター装着ができないレンズもあります。(そのようなレンズでは、レンズのスペックにフィルター径の記載がありませんので、レンズのフィルター径は、レンズ購入前にもチェック要! 大口径望遠レンズでも差し込みタイプのフィルターを使用するものがあるため、確認してみて下さい。)

 また、広角レンズとソフトフィルターの組合せによっては、フィルターの縁が写真の周囲に写り込んでしまうケラレが発生することがあります。

 今回テストした

Canon EOS70D + SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM

・Kenko レンズフィルター MC プロソフトン(A) 82mm

 の組合せでは、ケラレも見られず普通に使用できています。

Kenko レンズフィルター MC プロソフトン (A) N 82mm ソフト効果用 382905
 

 

ソフトフィルターの効果

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ソフトフィルター有無での星景写真比較

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 上の写真のうち、ソフトフィルターを使用した時が右側の写真、ソフトフィルターを使用しない場合が左側の写真です。どちらの写真とも、機材はもちろん、ISO感度、絞り、露出時間、焦点距離、ピント位置の条件を同じにして撮影した結果です。違いは、ソフトフィルターの有無のみです。

 ソフトフィルター有無での写真を比較してみると、ソフトフィルター有りの写真では、天の川に対して個々の星々が大きく明るく写っていることが分かります。ソフトフィルター無しの写真では、個々の星々が背景に埋もれがちで、判別しづらくなっています。しかし、木の影の輪郭や天の川は、ソフトフィルター無しの方がシャープに写っています。

 今回、焦点距離10mm(35mm判換算で16mm)と広角レンズを使用して撮影しています。広角レンズを使用するとソフトフィルターの効果が弱くなるという記述があり、どのくらいソフト効果が弱くなるのか? ソフトフィルター有り無しでの違いがあまり出ないのではないか? と気にしていましたがMC プロ ソフトン(A)で自分が必要としている十分な効果が得られていると感じます。

 Kenkoのソフトフィルターの商品ラインナップでは、ソフト効果の強い順から

センターイメージ サンドクスリーン

フォギー(B)N

ソフトクロス

MC プロ ソフトン(B)N

ブラックミストNo.1

フォギー(A)N

ソフトンスペック(B) 

MC プロ ソフトン(A)N

センターイメージ ソフトスクリーン

ソフトンスペック(A)

ロー・コントラスト No.1

デュート

となっています。今回使用したMC プロ ソフトン(A)のソフト効果の強さは、真ん中よりやや弱いという位置づけです。必要なソフト効果に応じて選んでみて下さい。

 

ソフトフィルター装着時の星景写真撮影の注意点

ソフトフィルターを使用した星空の撮影をしてみて感じたことは、

ピントが合わせづらい!!

ということです。

特に広角レンズを使用した星の撮影では、ピントを適当に無限遠に合わせておけば問題ないと思われる人もいるとは思いますが、撮影した写真を拡大してよく見るとピントが合っているかどうかは、すぐに分かってしまいます。

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左がピントが合っているときの写真を拡大したもの、右がピントが合っていないときの写真を拡大したものです。どちらもソフトフィルターを装着して撮影した写真ですが、右側のピントが合っていない写真では、比較的小さい星がシャープな点として写らず、小さな水滴のようにぼやけて写ってしまいます。(写真をクリックorタップして拡大すると分かります。)

 せっかく長い道のりを移動して撮影場所に行き、きれいな星空に感動して寒い中時間をかけて撮影した写真なのに、後でピントが合ってなかった、星が鮮明に写っていなかったと分かった時のガッカリ度は物凄く大きいのです。なので撮影の準備段階でピントをきちんと合わせておきたいところです。

 

※1ピントが合っているときの写真とピントが合っていないときの写真では、撮影した方角が違うため、写っている星が違います。

※2星自体が縦方向に伸びているように見えるのは、レンズ仕様によるゆがみの影響ですので、今回は気にしないでください。

 

僕は、星空撮影時のピント合わせをライブビューを使って行っているのですが、ライブビューでは、 ソフトフィルターを付けていない場合でも星が暗いためライブビュー上で見えづらく、ピント合わせは、ピントリングの細かな調整が必要で気を遣う作業なのです。ソフトフィルターをつけて行うと、更に星の見え方が暗くなり作業が大変になります。

 そのため、ピント合わせ時は、ソフトフィルターを外した状態で行うようにしています。ピントを合わせた後、ピントリングをテープ等で固定して、ソフトフィルターを装着してあげることで、ピント合わせの負担を低減できます。

 

 ポイントは、

  1. ソフトフィルター装着は、ピント合わせの後で
  2. ピントリングを固定するテープを忘れずに

の2点です。

 

 ちなみに、上のピントが合っていない写真は、撮影準備でピントを合わせた後、ピントリングをテープで固定していなかったため、撮影中にピントがずれてしまい、そのまま気付かずに撮影を続けたときのものです。それは、「郡山布引 風の高原」の記事の撮影時に起きてしまいました。そのときはズームリングもずれていて、焦点距離10mmで撮ろうとしていたのが実際は14mmで写っており、後で写真を確認した時、ピントずれとともに、大変ショックを受けました。今回の記事は、その反省を噛みしめながら作成しています。(TдT) 

 

撮影機材紹介

カメラは、Canon EOS70Dを使用しています。

レンズ交換のできる一眼レフの中で予算の範囲内でできるだけ性能のいいものをという理由で選んでいます。星空の撮影は購入目的の1つでしたが、それ以外にも使用できるような汎用性を期待して、価格.comで評価が高めものをチョイスしました。

星空の撮影をしていて、思いのほか役に立っているのがWi-Fi接続機能です。iPadとカメラをWi-Fi接続することで、iPadからワイヤレスで基本的なカメラ操作(レリーズ、絞り、ISO調整など)ができ、撮った写真の確認も、iPad上で出来ます。

星空の撮影では、露出時間が必要なため、以前であれば、長時間、夏の蚊や冬の寒さにさらされていたのですが、ワイヤレスになったことで、カメラのセッティングができれば、撮影は近くに停めた車の中から出来るようになり、すごく快適です。

現在EOS70Dの後継にあたるEOS80Dが発売されています。 

 

レンズは、シグマ10-20mm F3.5 EX DC HSMを使用しています。

EOS70DのキットレンズEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STMでは、天の川の広がりをとらえきれないため、より広角のレンズを購入しました。

その後、TOKINA AT-X 11-20 PRO DX CAFが発売され、星空の撮影用として評判が良いようです。

 

SIGMA 超広角ズームレンズ 10-20mm F3.5 EX DC HSM キヤノン用 APS-C専用 202545

SIGMA 超広角ズームレンズ 10-20mm F3.5 EX DC HSM キヤノン用 APS-C専用 202545

 

 

 

 

関連する書籍(Amazonへのリンク) 

 

さまざまなレンズを使用して星空を撮影した写真を比較しているマニアックな本です。

星空撮影用のレンズをお探しの方におすすめ!

写真レンズ星空実写カタログ: 星空撮影&夜景撮影のための

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